かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

外資かぼちゃばなし 21

〜前回までのあらすじ〜

同期のキャロラインが退畑して間もなく、上司の白菜鍋さんに呼び出されたカボタン。上司の微笑みと社交辞令は、健康に悪いと分かっていながらも止められないジャンク肥料のような中毒性と、どこか邪悪な色気がありました。



(あぁ…この気持ち…そっか。きっと私、白菜鍋さんに認めて貰いたいんだわ。単なる野菜じゃなくて、唯一の野菜として…)


上司との面談後、カボタンは心の奥底に深く根を張る自分の承認欲求に気付くのでした。



新しく編成されたチームのリーダーとなったのは、ナスの茄子井さんでした。

キャロラインがハリウッド女優だとしたら、茄子井さんはどんな時もいつだって明るい笑顔を振りまく畑のアイドル。


「カボタンちゃん、私達と一緒のチームになってくれて本当に嬉しい!ありがとう!これからもヨロシクね☆」


茄子井さんは、新たにチームに加わったカボタンに眩しい笑顔を向けました。

その笑顔の眩しさは3.828 × 1026 W、3.828 × 1033 erg/sに当たる太陽の光度と等しいので、カボタンは光合成が追いつかないほどのエネルギーを茄子井さんから受け取りました。


10野菜ほどで構成された茄子井さんチームのメンバーは皆、茄子井さんが発する3.828 × 1026 W、3.828 × 1033 erg/sの眩しい笑顔のおかげで、伸び伸びと自然体のまま働いていました。無理をしている野菜はどこにも見当たりません。時には笑い声も聞こえるほどで、殺風景で単調な畑の中では唯一、異色の明るさと朗らかさを醸し出しているチームでした。


毎日が同じルーティンの繰り返しにも関わらず、茄子井さんチームの雰囲気があまりにも心地良すぎたので、カボタンは以後5年間もこの畑に居座る事となるのでした。



(続く)