かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

日本かぼちゃばなし 2

※この物語はフィクションであり、実在の野菜・畑とは一切関係ありません。


~前回までのあらすじ~

ブラック畑で栄養分を極限まで吸い取られていたかぼちゃのカボタンは、いよいよ転職を決心するのでした。



最近のカボタンは、畑でトウモロコシ女の顔を見ただけで目(芽)から涙(汁)が出てくる始末でしたが、転職を決心した翌日は少し違いました。

「大卒かぼちゃのくせにコーンなことも知らないのぉ??」

トウモロコシ女のいつもの嫌味を聞いても、その日のカボタンはあまりダメージを受けませんでした。それはまるで、通りすがりの雀がたまたま畑の近くで糞をした時のような、大したことのない出来事でした。


カボタンは意を決して、チーフのキュウリ女に退職したい旨を伝えました。するとすぐさま、キュウリ女はカボタンを加工場に呼び出しました。

「あなたみたいな未熟な野菜が、他の畑に行ってやっていけるワケないでしょう。私はね、あなたを心配して言っているの。もしこの畑を今辞めて、その辺の路上で腐られでもしたら困るのよ。他にどうしてもやりたい事があるっていうなら別だけど。どうせちょっと辛くなったから泣きべそかいてるだけで、そんな強い意志も無いのでしょう?」

カボタンは特にやりたいことも行きたい畑もありませんでしたが、頭の種をフル回転させて、何とかその場で退職理由を考えました。

「私は…どうしても、えーっと…そうだ、司書!図書館司書になりたいんです!」

カボタンは本気で図書館司書になりたいとは思っていませんでした。行き当たりばったりの理由で、この野菜不足のブラック畑が退職を易々と許してくれるはずがありません。案の定、キュウリ女はポカンとしていました。

「は?そんなこと初耳なんだけど。資格でも取るつもりなの?もしその資格が取れなかったらどうするの?それに、その資格の勉強中は無職のままでいるの?そんな甘い考えで簡単に畑を辞められるとでも思っているの?」


カボタンは撃沈し、その日は何の収穫も無いまま加工場を後にしました。トウモロコシ女のニヤニヤ顔が脳裏(種裏)をよぎるのでした。


(続く)