かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

日本かぼちゃばなし 3

~前回までのあらすじ~

チーフのキュウリ女に退職したい旨を伝えたかぼちゃのカボタンでしたが、案の定一筋縄ではいきませんでした。



カボタンが退職の意志を伝えた数日後、カボタンの野菜精神が崩壊する決定的な事件が起きました。

「頻尿(頻汁)かぼちゃ事変」です。

実はカボタン、頻汁だったのです。ブラック畑で働くうえで、この体質(品質)は致命的とも言えるでしょう。しかしまだ若かったカボタンは、恥ずかしくてこの品質を畑の誰にも伝えられずにいました。


その日は働く野菜の数があまり足りていなかったので、休日だったはずのカボタンは直売所でのサービス出勤を強いられていました。カボタンは直売所メインで、アスパラガス先輩は直売所と畑を行き来していました。

アスパラガス先輩が直売所の持ち場を離れたとき、一人(一野菜)になったカボタンは、どうしてもトイレ(洗い場)に行きたくなりました。仕方なくカボタンは、洗い場に行く旨を野菜達にインカムで伝えました。

スッキリしたカボタンが洗い場から直売所に戻るなり、鬼のような形相をしたトウモロコシ女がカボタンの腕(つる)を掴みました。

「あなたねぇ!あなたのコーンな身勝手な行動にこっちはコーンなに振り回されてんのよ!その皮剥いでマッシュしてやろうか…!?」

カボタンはあまりの理不尽さに、ただただ呆然としてしまいました。そして心の片隅で

(かぼちゃとして生まれたからには野菜生の最期にマッシュされるのも本望だなぁ…)

と、全く関係のないことを考えていた矢先、カボタンは急に呼吸(蒸散)が苦しくなり、目(芽)から大量の涙(汁)が出てきました。カボタンは野菜生初めての過蒸散を起こしてしまったのです。

その場で苦しそうに倒れ込んだカボタンを見て、チーフのキュウリ女がすぐに駆けつけました。そして、カボタンの背中(背面)をさすりながらこう言いました。

「大丈夫。ただの過蒸散だから、救急車(三輪車)を呼ぶほどじゃないわよね?いい?呼ばないでおくわね?今日はもう野菜室に帰っていいから。」

カボタンは蒸散が落ち着くのを待ってから、ゴロゴロと転がるように野菜室へと帰っていきました。


そんなカボタンの背面を見て、トウモロコシ女は終始ばつが悪そうな顔をしていました。


(続く)