日本かぼちゃばなし 6
~前回までのあらすじ~
専務のロマネスコ夫人による「野菜魂を磨く会」に、嫌々ながらに参加したカボタン。いつもよりヒートアップするロマネスコ節に、カボタンは嫌な予感がするのでした。
カボタンを待ち構えていたのは、ロマネスコ夫人による公開処刑(公開マッシュ)でした。
ロマネスコ夫人は、その尖った顔をさらに尖らせて、カボタンにこう言いました。
「カボタンさん、復帰おめでとう。よーく休めましたか?あなたねぇ、自分が不良品だってアピールしたいなら、頭に不良品シールでも貼っておきなさい。簡単な仕事をやらせてあげますよ。生ゴミ処理班でもやりますか?やりたいんですか?」
シーン…
その場にいる野菜達の視線が、一斉にカボタンに向けられました。
カボタンは後悔しました。このキチガイな集まりに参加したこと…ではなく、ボイスレコーダーを持参しなかったことを。
パワハラ発言の証拠を記録する絶好のチャンスを逃してしまったことが、カボタンはとても悔しかったのです。
(仕方ない。将来自分がいつか幸せを感じられるようになったら、これをネタにしてブログでも書こう。タイトルは何にしようかなぁ…)
皆から視線を集める中、カボタンは悠長にそんなことを考えていました。
ここ数ヶ月で起きた理不尽な出来事の数々に、カボタンの感覚は完全に麻痺していたのです。ロマネスコ夫人の暴言ごときでは動じなくなっていました。
カボタンはこの状況を切り抜けるために、子供(苗)の頃から大好きだった漫画『ガラスの仮面』の主人公、北島マヤを脳内(種内)に召喚しました。
「うっ…うっ……私は甘えていました!もっと強くなって、ここで野菜魂を磨きたいです!」
カボタンの迫真の演技を見て満足したロマネスコ夫人は、北島マヤの才能を初めて発見した月影千草並みに不気味な笑顔でこう言いました。
「そうよ!あなたはもっともっと強くなれるのよ!もっと枯れる気でやりなさい!あなたならやれるわ…!!」
こうして、なんとか公開マッシュを乗り切ったカボタンは、その日の夕飯を何にするか考え始めるのでした。
(続く)