日本かぼちゃばなし 7
~前回までのあらすじ~
野菜達の注目を浴びる中、カボタンは得意の現実逃避と迫真の演技で、ロマネスコ夫人の攻撃を何とか切り抜けるのでした。
ロマネスコ夫人による公開マッシュから数日後、カボタンは怒りが沸々と湧き上がるのを感じ、その怒りに任せて転職サイトに登録しまくりました。そのおかげで、ワケの分からない迷惑メールがたくさん届くようになってしまいました。
カボタンはハローワーク(ハロー畑)にも何度か通いましたが、経験者のみの求人(求野菜)ばかりで、面接もなかなか上手くいきません。
(大学で何か一つでもスキルを習得しておけば良かったな…)
カボタンはちょっぴり後悔しました。
学生時代、周りの野菜達がオーガニックやら環境汚染やら遺伝子組み替えやらについて議論している中、特にやりたいこともなくサークル活動に明け暮れていたカボタンは、彼氏のことや結婚(受粉)のことや出産(出荷)のことばかり考えていました。
女野菜の幸せ=受粉
DNAにそう刷り込まれていたカボタンは、彼氏がいることが一種の安心材料だったので、ブラック畑で働く合間に、ちゃっかり婚活(粉活)パーティーに通っていました。
とある粉活パーティーで出会った公務員かぼちゃのカボ太郎とは、交際1年が経とうとしていました。
カボ太郎は、カボタンにも公務員になって欲しかったので、とある役場の採用試験を受けるようカボタンに勧めてきました。
かなり後で分かったことですが、そこの役場は100%コネでしか入れない無理ゲーだったのです。そうとは知らずに試験に落ちたカボタンは、それなりに落ち込みました。
役場の試験に落ちた後、カボ太郎に
「どうせ受かる気なかったんだろ」
と嫌味を言われた辺りから、カボタンのカボ太郎に対する愛情は急激に冷めていきました。
(仕方ない。とりあえず適当に派遣畑に登録して、腰掛けの畑を探そう)
こうして不純な動機で何となく登録した派遣畑が、今後のカボタンの運命を大きく変えるのでした。
(続く)