かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

日本かぼちゃばなし 8

~前回までのあらすじ~

本格的に転職活動を始めたカボタンですが、なかなか思うようにいきません。彼氏のカボ太郎にも嫌味を言われて愛情がフリーズドライしてしまったカボタンは、ヤケクソで派遣畑に登録するのでした。



ピンポーン

「あら、こんにちは☆カボタンさんですね?どうぞ中にお入り下さい♪」

ドアを開けるなり、派遣畑で営業をしているパプリカお姉さんが満面の笑顔でカボタンを迎えました。ハロー畑でカボタンの担当になったモヤシ爺とは大違いです。


(この対応の違いは一体何なんだ?なんでもっと早くここに登録しなかったんだろう…)


パプリカお姉さんはカボタンの品質検査を素早く済ませた後、早速面談に取りかかりました。

「カボタンさんはまだ全然若いし、第二新卒だからいくらでもチャンスはあるのよ♪ところで、どうして転職したいのかしら?☆」

カボタンは優しく接してくれるパプリカお姉さんに癒やされつつ、今まで溜まっていた鬱憤を汁が出るほどぶちまけました。


「あら酷い!そーんな酷い畑はすぐ辞めちゃいましょう☆法律上は2週間前に辞めるって伝えておけば大丈夫♪ここでは紹介予定型派遣っていう制度を使って正社員(正畑員)になった野菜達がたくさんいるのよ☆普通の派遣とは違って採用前提みたいなものだから、簡単な筆記試験と面接を受ける必要があるけどね☆」

常に語尾に☆と♪が付くパプリカお姉さんはマシンガントークを繰り広げながら、手際よくカボタンの条件に合う畑をいくつか提示しました。

「実はこれらの求人(求野菜)情報は、Webやハロー畑では非公開なの☆派遣畑のみが扱っているのね☆何か興味のある分野とか、学生時代に得意だった教科とかはあるかしら?♪」


カボタンはここ数日間で自信を失っていたので、俯きながらこう答えました。

「えっと…高校のときは英語が好きでした。でも大学に入ってからは全然やってなくて…色々と中途半端なんです…」


パプリカお姉さんは表情一つ変えずに、噛むことなくマシンガントークを続けます。

「全然大丈夫♪まだ若いから全っっ然大丈夫よ☆☆スキルは畑に入ってからいくらでも身に付けられるし♪それに大学生は遊んでなんぼよねー!☆☆☆フフフ♪皆そんなもんだから心配しないで☆カボタンさんは英語が好きだったのね?♪ふむふむ…もし外国語に興味があるなら、外資系畑とかどうかしら?☆」


カボタンの耳に、パプリカお姉さんが発する☆と♪が気持ちよく響き渡りました。野菜の優しさに飢えていたカボタンは、しばらく夢心地な気分を味わうのでした。

その後もパプリカお姉さんの☆と♪の流れに身をまかせているうちに、カボタンはあれよあれよと採用試験を受けることになるのでした。


(続く)