日本かぼちゃばなし 11
※この物語はフィクションであり、実在の野菜・畑とは一切関係ありませんが、人間界で実際にあった出来事を参考に作られています。
~前回までのあらすじ~
外資系畑の面接を終え、ほぼ内定が決まったカボタン。やったね!あとはブラック畑を辞めるだけ!頑張れカボタン!!
外資系畑から内定が決まった翌日、カボタンはいつもの景色が違って見えました。今まで味わった苦しみが他人事(他菜事)のようで、それはまるで、滑稽な無声映画を鑑賞しているような感覚でした。
ところで、カボタンは内定を貰う1ヶ月ほど前に、ブラック畑から無事にボーナスを貰うことができました。しかし、このボーナスを貰うための儀式も、カボタンにとっては苦痛だったのです。
その儀式というのが、
畑長と畑専務に感謝のお手紙を書くこと。
今となっては爆笑ものですが、当時のカボタンにとっては非常事態でした。
カボタンは、ありもしない感謝の言葉をなんとか捻り出して、丸一日かけて一枚の便箋を埋めました。文章を書くのは割と得意なカボタンでしたが、こちらは大学入試よりも難易度の高い課題でした。
ブラック畑に復帰した理由が「ボーナスを貰うため」だったカボタン。目的を果たした以上、彼女がここにいるメリットはもうありません。
カボタンはとりあえず、内定を貰ったことを最初に同期のカボ美に伝えました。
カボ美は若干やつれた顔でこう言いました。
「そっかぁ…とうとう辞めちゃうんですね。カボタンさんって、結構要領良いんですね…」
カボ美の切なそうな顔を横目に、カボタンは次の戦(第二次退畑事変)に向けて備えます。
前回惨敗したチーフのキュウリ女との戦いに、カボタンは再び挑もうとしていました。
ボイスレコーダーと共に。
(続く)