かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

日本かぼちゃばなし 13

~前回までのあらすじ~

キュウリ女に再び退畑宣言したカボタンは、案の定加工場に連行されました。種内に北島マヤを召喚したカボタンは、いよいよ最終決戦に挑みます。



「で?どういうことなの?」

キュウリ女は脚(つる)を組んで座りながら、今にも何かしらの光線が出てきそうな目つきでカボタンを睨みました。

「ですから、2週間後に辞めたいので退畑届を受け取って下さい」

「またそんなこと言って!理由は何なのよ?!」

カボタンは種内の北島マヤを駆使し、小学校で飼育係だった頃に溺愛していた鶏が死んだ時の悲しみを思い出しながら、ありったけの涙を絞り出してこう応えました。

「うっ…うっ……会社の方針や、畑専務の言うことに、私もう付いていけないんです…」

カボタンが号泣する姿を見て、キュウリ女は表情を少し和らげてこう言いました。

「なんだ、そんなこと心配しなくて良いのよ。確かに、専務は雲の上の存在よね。私だってまだまだ付いていくのに精一杯よ。でも大丈夫!専務の言うことをちゃんと聞いて、少しずつ実行していけば、きっといつかカボタンさんも専務のような素敵な女性(女菜)になれるわよ!だから、一緒に頑張りましょ?ね?」


(ダメだ…全然話が噛み合わない…まるでお互い違う言語を話しているかのようだ…)


北島マヤの力だけでは到底敵わないことを、カボタンは痛感しました。そして、ブラック畑に完全に洗脳されているキュウリ女を、このとき初めて哀れに思うのでした。




プルルルルル…プルルルルル…


ガチャ


「お電話ありがとうございます。ブラック畑キュウリ女でございます」

「もすもす(もしもし)、ワシはカボタン祖父だが、今日そこにカボタンはいるか?帰りが遅いから心配しとるんじゃが?」

「えっ、カボタンさんのおじい様ですか?!あっ…はい、はい、分かりました。カボタンさんにすぐ代わりますね」


キュウリ女は想定外の登場人物(登場野菜)に動揺しながら、カボタンに受話器を渡しました。

「うっ…うっ……ぐすっ…ぐすっ…お、お、お、おじいちゃん?」

「…っ!!おい、カボタンか?!お前、何されたんじゃ?!え?!すぐアイツに電話代われ!!」


(じいちゃん、スマン!これ、嘘泣きなんやで…!)


カボタンは若干の罪悪感を抱きながら、キュウリ女に受話器を渡しました。

キュウリ女は恐る恐る電話に出ました。


「オイィィ!!おめぇワシの孫に何しとんじゃあ?!ああん?!畑仕事基準法知らんのか?!この畑訴えるぞボケェ!!さっさとカボタン辞めさせろやゴルァ!!!」


カボタン祖父の怒号は凄まじく、受話器からダダ漏れでした。


(続く)