日本かぼちゃばなし 17
~前回までのあらすじ~
ギスギスした雰囲気の中、カボタンは何とか畑仕事をこなしていました。その時、またまたカボタン祖父から電話が…
「辞める前に専務に挨拶に行かんにゃならんとは、どういうこっちゃああぁぁ?!ふざけとんのかオイィ!!」
カボタン祖父のボルテージは既に最高潮を迎えていました。
「分かりました、専務への挨拶も結構です。カボタンさんは挨拶無しで退畑頂いて結構です。」
キュウリ女はゲッソリした顔でアッサリと要求を呑みました。カボタン祖父の頑固さには敵わないことを学んだのでしょう。
「そうか!分かった。はよ辞めさせぇよ!」ガチャッ!
祖父のお陰であまりにもアッサリと悩みが解決したカボタンは、晴れやかな気持ちで仕事に取りかかりました。
そして、カボタンのために嫌われ役に徹してくれた祖父に、心の底から感謝するのでした。
しばらくして、トウモロコシ女が不気味な笑顔でカボタンに近づいてきました。
「カボタンさん♪」
「は、はい…何でしょうか」
トウモロコシ女は、話が終わるまで逃げさせはしないと言わんばかりに、カボタンの腕(つる)を強く掴みました。
「カボタンさん、本当に辞めちゃうのね。寂しくなります…そういえば!私、最近英会話教室に通い始めたの~♪昨日も先生から宿題出されてちゃって、帰ったら早速やらなきゃいけないんですよ~もう全っ然分かんなくて!Be動詞って何?みたいな?カボタンさんはBe動詞って分かりますぅ?分からないですよね?キャハハッ♪」
「は、はぁ…」
Be動詞で躓いている相手に何を言っても無駄だと判断し、カボタンはやる気の無い返事をしながら、この場をやり過ごすことにしました。
「働きながら習い事するのって大変よねぇ~。でも、私ならこの畑で働きながら、英語の勉強だって両立できると思ってるわ♪カボタンさんには無理かもしれないけど、私ならできますっ!」
トウモロコシ女の口は笑っていますが、目が全く笑っていません。カボタンは、この女の根拠のない自信は一体どこから来ているのか不思議でなりませんでした。
「わー凄いですねー頑張って下さい」
「カボタンさんは新しい畑に行っちゃうんだろうけど、慣れない所で働きながら勉強なんてできるのかなぁ?せっかく慣れてきたこの畑を辞めちゃうなんて、本当にモッタイナイよ~。ここで働きながらだって、私みたいにいくらでも勉強できるのに~」
「はいそうですねートウモロコシ女さんは私とは違って凄いですねー(棒読み)」
「そう!私はアナタとは違うの!まあ、また戻ってきたかったらいつでもいらっしゃい♪こんな辞め方だともう戻ってくるのは難しいだろうけど♪」
「そうですねー」
(これが今巷で話題のマウンティング女子ってヤツかぁ…生で見たの初めてだなぁ…)
カボタンはまるで動物園で珍獣を発見したかのように、トウモロコシ女の開ききった瞳孔を眺めるのでした。
(続く)