かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

日本かぼちゃばなし 19

~前回までのあらすじ~

キュウリ女が泣いていたことを知ったカボタンは動揺してしまいました。そして動揺してしまった自分に動揺してしまうのでした。




カボタン退畑まであと数日。この日もカボタンはルンルン気分でスキップしながら畑に出勤しました。

もうすぐブラック畑を辞められると思うと、カボタンは幸せいっぱいだったのです。


(新しい畑に入畑するまで1ヵ月あるし、ここを辞めた後は思う存分リフレッシュしちゃおうっと☆)


カボタンの幸せオーラは、そのままお客さんにも伝わりました。

畑にお客さんとして来ていたとある女性が、ニコニコ笑顔のカボタンに声をかけました。

心に余裕たっぷりのカボタンは、誠心誠意対応しました。

その女性はカボタンをすっかり気に入り、お客様アンケートハガキの『1番対応の良かった野菜』欄にカボタンの名前を書きました。さらに備考欄には、


“カボタンさんの対応がとても素晴らしかったです!”


というメッセージまで添えられていました。


このハガキの内容は翌朝までにチーフのキュウリ女はもちろん、本部にいる専務のロマネスコ夫人にまで知れ渡りました。

実は、お客さんに名指しされたのは、その畑の中でカボタンが初めてだったのです。


翌日の朝礼で、チーフのキュウリ女は皆の前でハガキを読み上げ、カボタンを満面の笑顔で誉めました。キュウリ女はこの出来事を心から喜んでいるようでした。

カボタンは嬉しさが込み上げ、仕事の楽しさをこのとき初めて感じるのでした。


(あれ…私、このブラック畑の労働環境は嫌いだったけど、仕事内容自体は嫌いじゃないのかもしれない…)


カボタンの気持ちが少し揺れ動いた矢先、トウモロコシ女が苦虫を噛み潰したような顔でカボタンに近づいてきました。


「ねぇ、カボタンさん…」


(続く)