日本かぼちゃばなし 21
~前回までのあらすじ~
腐った野菜の発言を聞き、カボタンは「転畑する」という自分の判断が正しかったことを痛感するのでした。
とうとう、待ちに待ったカボタン退畑の日がやってきました。
この日、カボタンは鼻歌混じりにブルガリアンダンスのステップを踏みながら華麗に出勤しました。
前日には、律儀に菓子折りと置き手紙まで準備していました。
カボタンが用意した手紙には、こう書かれていました。
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皆さんへ☆
今までたくさんお世話になりました♪この畑のこと、皆さんのこと、大好きです!また、たまには遊びに来たいと思いますので、宜しくお願いします♪
皆さんのこれからのご活躍をお祈りしてまーす☆
カボタンより♪
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カボタンは、派遣会社のパプリカお姉さん(日本かぼちゃばなし 8 参照)のテンションをそっくり真似た手紙を、菓子折りに添えて休憩室のデスクに置きました。
(フッ…冗談もいいところだな)
カボタンはさっさと自分の持ち場に行き、最後の仕事に取りかかりました。
そして、密かにカウントダウンを始めるのでした。
あと3時間…
あと2時間…
退畑まであと1時間…というところで、カボタンはやらかしてしまいました。
「ノーパン(ノー葉っぱ)かぼちゃ事変」です。
この日のカボタンは浮かれていたので、畑の水溜まりに気付かず、うっかりその場に座ってしまいました。
おかげで、カボタンが履いていたパンツ(葉っぱ)は泥だらけになる始末。
パニックに陥ったカボタンは、泥だらけになった葉っぱをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨てました。
そして、脳みそ(種)をフル回転させて考えに考えた結果…
カボタンは、ノー葉っぱで残り時間を過ごすことにしました。
(あー…やっちまったなー。でもまあ、あともう少しの辛抱だし。エプロンしてるから大丈夫っしょ!)
しかし、大丈夫ではありませんでした。
「カボタンさん。ちょっといいかしら?」
あと30分で退畑というところで、ノー葉っぱのカボタンはキュウリ女に呼び止められるのでした。
(続く)