外資かぼちゃばなし 3
~前回までのあらすじ~
カボ太郎の策略にまんまとハマって悔しい思いをしたカボタンですが、美容院に行くことで気を紛らすことにしました。
今日はカボタンにとって久々の美容院です。
ブラック畑で働いていた頃は、美容にかける時間も皆無だったので、妙に美意識の高いトウモロコシ女にも
「カボタンさん、何その顔!ボロッボロ!もうボロッボロですよー!笑」
と嫌味を言われる始末でした。
しかしブラック畑を辞めてからのカボタンは、高度経済成長期並みの勢いで健康を取り戻し、すっかり萎んでいたフォルムも順調に膨らみ始めていました。
カランコロン…
「いらっしゃいませー」
「お、お、オゥフ…お願いします…ドゥフ」
しかし美容院が苦手なカボタン。イケメン美容師が目の前に現れ、急に挙動不審になるのでした。
「今日はどんな感じにします~?」
突発性のコミュ障に罹ったカボタンは、なんとか勇気を振り絞って、映画『しあわせのパン』に出演する原田知世の髪型をイケメン美容師にオーダーするのでした。
かぼちゃに髪が生えているのかどうかは置いといて、イケメン美容師は「OK牧場!」とウインクをしながら快くカボタンの要望を引き受けました。
なんとかオーダーを済ませて安堵したカボタンは、カットの最中にうっかりウトウトしてしまいました。
そして、ふと目が覚めて鏡を見た瞬間、カボタンは唖然としました。
そこには変わり果てたかぼちゃ…否、キノコのような物体が映っていたのです。
「こ…これは…」
「あ、どうです?可愛いでしょ?こんな感じで良いですかぁ?」
「……ァ、ハィ」
カボタンは見事なまでにマッシュルームカットされた自分の頭を直視できず、蚊の鳴くような声で返事をしました。
(こんな姿じゃ外出できないな…)
しばらく野菜ではなく菌類として過ごすことを覚悟したカボタンは、外資系畑に入畑するまでの間、じめじとした温室に引きこもり、ひたすらネットサーフィンをして過ごすのでした。
しかし、この一見怠惰な引きこもり&ネットサーフィンが、後にカボタンの人生(野菜生)を大きな大きな転換期へと誘うことになるとは、このときの彼女は1ミリたりとも想像していませんでした。
(続く)