かぼちゃの悪魔

かぼちゃのかぼちゃによるかぼちゃのためのブログ

外資かぼちゃばなし 6

~前回までのあらすじ~

傷だらけの戦士となって闇の国から還ってきたカボタンは、オッコトヌシ…ではなく変態紳士達と共にありったけの夢をかき集め、新たな世界グランドラインを目指し旅立つのであった。



今日はいよいよ、外資系畑の入畑日です。

この日までアプリでひたすらチャットをしながら菌類として過ごしていたカボタンですが、キノコのような髪型も少しはマシになっていました。

カボタンは慣れない白シャツを着て、久々に外の空気を吸い、外資系畑に向かいました。


朝9時ちょっと前にオフィスに到着したカボタンは、緊張した面持ちでインターフォンを鳴らしました。すると中から綺麗なお姉さんがにこやかに現れ、カボタンを高層階にあるガラス張りの部屋へと案内しました。


「こちらで少々お待ち下さい。同僚の方は既に中にいらっしゃいます」


お姉さんはそう言うと、華麗に去っていきました。

カボタンが部屋に入ると、そこにはキャロライン(日本かぼちゃばなし 9 参照)が座っていました。カボタンとキャロラインは互いに自己紹介をしました。

研修が始まるまでの間少し時間があったので、2人(2野菜)は互いに前職のブラックな話題で大いに盛り上がるのでした。


しばらくして、上司となる男性達が順番に研修を行いました。談笑もありつつ終始和やかなムードで時間は過ぎ、あっという間に1日が終わりました。


「お疲れ様でした。それじゃ、また明日会いましょう。今日は初日だったから疲れたでしょう。今夜はゆっくり休んで明日に備えてね」


その男性は爽やかな笑顔でそう言い、部屋から颯爽と出ていきました。とても緑々しい葉っぱをしていました。

カボタンがふと時間を見ると、ぴったり午後6時。


「えっ、まだ6時?!」


カボタンは感動のあまり目(芽)から汁が出そうになりました。

そして、あのブラック畑で受けた地獄のような研修を思い出すのでした。




ーーいいですか、テストに合格しなければクビよ、クビ!そんなの当然でしょう!いいですか、この間パートさん達の研修をしたときはねぇ、1人でも不合格者がいたら連帯責任で全員クビ!って私言ったのよ。そしたら皆寝る時間も削って必死になって特訓していたわ!そしてね、最後に皆で一緒に合格した時はもう全員が号泣したの!本当にあれは感動モノだったわ~。いいですか?その点あなた達には連帯責任は無いんだから、まだ甘い方なの。だから感謝して必死にやりなさいよ!ーー


専務のロマネスコ夫人(日本かぼちゃばなし 5日本かぼちゃばなし 10 参照 )にそう脅されていた新人(新野菜)達は、血眼になって準備に取り組むしかありませんでした。

ブラック畑で行われた研修は朝6時~夜9時にまで及びました。

時には朝5時半から雪掻きが始まり、午前中で既に皆ぐったりとしていました。

研修が終わった後も、無意味な感想文やテスト勉強や課題に追われていたため、休む暇は一切ありませんでした。

寮の1部屋あたり約7~8野菜が詰め込まれ、風呂(洗い場)も1つしか無かったため、全員が入り終わる頃には夜中の2時を過ぎていました。

就寝時は雑魚寝(雑草寝)を強いられて良く眠れず、睡眠時間が2~3時間しか取れない日々が1週間続き、中には頭がおかしくなって逃亡し音信不通になる野菜も出てくるほどでした。

野菜達のストレスは凄まじく、捌け口は夜中に皆で愚痴を吐くことぐらいでした。当然、カボタンの皮もボロボロになりました。

それでもロマネスコ夫人は追い討ちをかけるように、心無い言葉を皆に浴びせるのでした。


ーーお客様の前で肌荒れ(皮荒れ)した姿を見せるなんて、もってのほかよ!心が綺麗でないと外見も醜くなるの!私の皮を見てごらんなさい。ツルッツルのすべっすべ、少しも荒れてないでしょう?ーー


カボタンは研修が終わるまで、汁が出ないよう耐えて耐えて耐え忍ぶしかありませんでした。




「キャロラインさん…私、こんな平和な畑、こんな穏やかなfieldがあるだなんて、今まで全っ然知らなかった!だって、だって、ずっと、この椅子に座ってて良いなんて感激です!しかも、washroomにも自由に行けるし!凄くないですか?!こ、これは…君がくれたキセキってヤツですか?」

「カボタンちゃん、なんか喋り方おかしくなってるわよ」

「あっ、すみませんついexcitedしちゃって…でもでもbut、飲み物だって研修中もこうして自由に飲んで(吸収して)良いなんて、信じられません!私今とても幸せです!」

「幸せ感じるハードル低いな(笑)カボタンちゃん、あまりにも過酷な労働環境に身(実)を置いていたせいで、感覚が完全に麻痺しちゃったのね…」

「それに!定時で帰れるなんて、有給休暇が取れるなんて、そんなの都市伝説か幻かillusionかと思ってました!」

「確かに…休めるのは魅力的だよね」

「魅力的ってもんじゃない!これは天国っ…あっ!」ゴロンゴロン

「キャー!!カボタンちゃん、大丈夫?!」


カボタンは興奮のあまり階段を踏み外すのでした。



(続く)