かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

外資かぼちゃばなし 11

~前回までのあらすじ~

母校のダンスパーティーに参加したカボタンは、会場で異国感溢れるスリランカ産の果物、アボカド女性と出逢うのでした。



「カンパーイ!」


パーティー後の打ち上げに参加することにしたカボタンは、くじ引きで割り当てられた席に座りました。偶然にも、アボカド女性はカボタンの斜め前に座っていました。

彼女にニッコリ微笑みかけられたカボタンは、少しドキドキしながら、ルー大柴よりも酷い英語でアボカド女性に話しかけました。


「ハ、ハロー!マイネームイズ日本産かぼちゃのカボタンです。ナ、ナイストゥーミーチュー」

「コニチハ!ワタシはスリランカ産アボカドの、ドーナー・パビットラー・アボカディー・ドッサナーヤカです」

「えっ?ドーナー…えっ?」


唐突に彼女から発せられた呪文のような名前に、カボタンは戸惑いました。


「ドーナー・パビットラー・アボカディー・ドッサナーヤカです」

「ズルリトレスタットナセセロタパンシュカドゥンドゥンドゥン…??」

「何それ全然違うじゃーん(笑)」

「ハハハ、冗談だよ。これはフォークダンスの曲名」

「パビットラー・アボカディーがワタシのファーストネームです」

「それでも長いな!もう、アボちゃんって呼んで良い?」

「うん、ハハハ!皆スリランカ農産物の名前は長いって驚くから大丈夫ョ!呼び方は何でも良いョ!」

「ありがとう!」



カボタンは彼女のフルネームを覚えるのに10日間ほどかかりました。

その後もアボカディーの純朴な笑顔と人柄(銘柄)に惹かれたカボタンは、彼女とあっという間に打ち解けるのでした。


「アボちゃんは日本語が凄く上手だよね」

「うん、日本語大好き!勉強面白い!スリランカでは日本語めっちゃ人気!」

「へえ!そうなんだー、偉いなぁ。何年くらい勉強してるの?」

「ワタシはスリランカで3年勉強したョ!常用漢字もだいたい読める」

「えっ…!3年でそんなに上手くなるの?!凄いな…私なんて中学高校の6年間英語やってても全然上手くならなかったよ…」

「えーナンデ?」

「何でだろうねー。先生が日本産だからかな?」

「ナルホドねー。スリランカも日本語学習者の数に対して日本産の日本語教師の数が足りてないから、需要と供給が全然マッチしてないョ」

「アボちゃん完全に日本語使いこなしとるな…尊敬するわ」

「まだ全然ダメ。助詞の使い方が難しい。カボタンちゃん、ワタシの日本語の先生になってョ」

「うん!オーケーオーケー、いつでもウェルカムよ」


こうしてカボタンはアボカディーに日本語を教えつつ、毎週のように一緒に出かけるのでした。


最近仕事のことで落ち込んでいたカボタンでしたが、アボカディーの天真爛漫でおおらかな銘柄に影響され、狭い世界で生きる自分の悩みが徐々にクソどうでも良くなるのでした。



(続く)