外資かぼちゃばなし 15
~前回までのあらすじ~
明晰夢の中で不思議な声の主と会話をしたカボタン。しかし目が覚めると、夢の内容はすっかり忘れてしまうのでした。どうやら今回も外資系の話をするつもりは毛頭無いようですね。
「あー…アカン。なんかまた無性にインドカレー食いたいわ」
カボタンは最近、何故か気が狂ったようにインドカレーを欲していました。
外資系とはいえ畑の底辺に属しているカボタンにとって(外資かぼちゃばなし 8参照)、頻繁に外食するのは経済的に厳しいものがあります。
カボタンはとうとうレシピ本とスパイスを購入し、本格的にカレーを自作するようになりました。
スパイスの効果で血流(汁流)も良くなり、引きこもりがちだったカボタンは少しずつ活発になりました。心なしか考え方もポジティブになってきたようです。
(あ、そういえば。英語やろうとしてたんだっけ。でも参考書だけじゃ前みたいに眠くなるし、スパイスみたいに何か刺激が欲しいなぁ)
『チャット…』
「えっ?」
誰かの声が聞こえたような気がして、カボタンは周りをキョロキョロと見渡しました。
幽霊や怖い話が大の苦手だったカボタンは、その声を空耳だと思い込むことにしました。
そしておもむろに以前使っていたチャットアプリ(外資かぼちゃばなし 5参照)を開き、ランダムチャットを再開することにしました。
「えーっと…Hi, where are you from?っと…」
つたない英語で外国産の農産物達と一日中チャットを繰り返していたカボタンは、徐々に異変を感じ始めました。
(あれ…?今日はやたらとインド産が多いような…気のせいかな?)
以前は色んな産地の変態的な農産物達とランダムに繋がっていたのに…
仮にこの主人公をKさんとしておきましょうか。
よ~く見ると、何やら今日はインド産ばかりとチャットが繋がる。
これは多分絶対、この世のモノじゃない奴に仕組まれてる。
変だなー、変だなー、おかしいなー。
カタカタカタ…カタカタカタ…
(それにしてもインド産の農産物ってなんで皆エンジニアを名乗るんだろう?しかも皆めちゃくちゃフレンドリーだし、下ネタとかも全然言ってこないし…)
カボタンはインド産農産物達の人柄(銘柄)に好感を持ち始めました。そして、チャットで知り合ったいくつかのインド産達と連絡先を交換することになりました。
連絡先を交換するとすぐ、彼らから沢山の自撮り写真が送られてきたので、カボタンは驚き戸惑いました。
「ちょ、ちょっと待って」
カボタンは目(芽)を丸くしました。
「なんか見事に髪型全員リーゼントなんだけど」
(続く)