外資かぼちゃばなし 16
~前回までのあらすじ~
見えざる手とリーゼント達により、未知の国インドへと導かれるカボタンであった。
カボタンはあれから毎日のように、インド産リーゼント達とメッセージのやり取りをしていました。分からない英単語が出てくると、彼らはカボタンに懇切丁寧に教えてくれました。また、下ネタを話すリーゼントは誰もいませんでした。
(なんだろう…この妙な安心感は。皆、見ず知らずの野菜に対して優しすぎるだろ…)
カボタンは不思議と彼らに心を開いていきました。
(でも皆揃ってエンジニアを名乗るから、100%は信用できないなぁ…)
多少は胡散臭い部分もあるインド産リーゼント達でしたが、やたらとフレンドリーな彼らのおかげで、カボタンの英語のタイピングスキルは徐々にアップしていきました。
一カ月もしないうちに、カボタンのスマホの予測変換機能は英単語まみれになりました。
『チャット…』
ある日、また変な空耳が聞こえたカボタンは、前回と同じチャットアプリを開き、新たな相手を探し始めました。
そこでカボタンはとうとう、運命の芋に出逢うのでした。
《日本語に訳しています》
ーーー接続されました。会話を開始して下さいーーー
匿名:
“やあ!こんにちは!”
あなた:
“こんにちは”
匿名:
“僕はインド産ジャガイモのポテッタント。君は?”
あなた:
“私は日本産のかぼちゃのカボタン”
匿名:
“はじめまして、カボタン”
あなた:
“はじめまして、ポテッタント”
匿名:
“カボタンは普段、何をしているの?”
あなた:
“え、別に…”
既にチャットに飽きてきていたカボタンは、沢尻エリカを発症してしまいました。
しかし、インド産ジャガイモのポテッタントは特に気を悪くした様子も無く、会話を続けるのでした。
匿名:
“そっか!えーっと、僕は日本の文化がとても好きなんだ。アニメも良く見るんだよ!”
あなた:
“へぇ…ところであなたもエンジニア?”
ポテッタントがせっかく振ってくれたアニメの話題も、カボタンは盛大にスルーしました。完全に会話を続ける気ゼロです。
それでもポテッタントは特に気を悪くした様子も無く、カボタンの唐突な質問に答えました。
匿名:
“僕は地球科学者だよ”
(あれ…?)
カボタンは、ポテッタントの意外な答えに少し興味を持ちました。
あなた:
“てっきりエンジニアだと思った!だって、他のインド産は皆エンジニアって名乗るんだもん(笑)”
匿名:
“えっ、他のインド産達とも話したの?”
あなた:
“そうだよ!なんか最近、やたらとインド産が多いの!てか、インド産しかいないの!なんで?!”
匿名:
“たぶん人口(収穫量)が多いからだね!もしくは、インド産は暇なのかも?僕みたいにね。ハハハ!”
あなた:
“ハハハ…”
(あれ…?コイツ、いい奴かもしれないぞ…?)
そこそこ会話が盛り上がったカボタンとポテッタントは、互いに連絡先を交換しました。
すると早速、ポテッタントから顔写真が送られてきました。インド産にプライバシーの概念は無いのかもしれません。
(おっ、きたきた~。どれどれ、またリーゼントヘアーだったりして…フフフ)
「えっ…!?」
ピッシャーーン
彼の顔写真を見るなり、カボタンは脳内(種内)を雷に打たれたような強い衝撃を感じました。
『「顔ドストライク!!!」』
(続く)