かぼちゃの悪魔

インド彼氏とのロマンスコメディーを書こうとして徐々に迷走し始めたブログ

外資かぼちゃばなし 10

~前回までのあらすじ~

外資系畑で働き始めて数ヶ月。劣等感に苛まれたカボタンは、ふと過去の淡い恋を思い出し、感傷にふけるのでした。



ラインッ♪


(…ん?何だ?)


それは毎年母校のサークルで行われているダンスパーティーの招待文でした。


(パーティーの季節か…またあの懐かしいメンバーに会えるかなぁ…)


カボタンは少しでも沈んだ気分を晴らしたかったので、すぐさま出席の返信をするのでした。




ダンスパーティー当日。

カボタンは朝からせっせと皮にコーンスターチを塗り、髪(かぼちゃに髪があるのかどうかは置いておくのです)をブローし、お気に入りのワンピース(かぼちゃがワンピースを着るのかどうかは置いt…)を着て会場に向かいました。


母校のダンスパーティーには毎年のように参加しているにも関わらず、卒業した後に顔を出す微妙な緊張感は、いつになっても慣れませんでした。

洗い場の鏡で最終チェックを済ませたカボタンが会場の中へ入ると、そこには懐かしい顔ぶれが勢揃いしていました。


「あ、カボタンちゃん!久しぶり~髪切った?可愛い~」

「カボタンちゃん、遅いよー!」

「あ、カボタンさん、お疲れ様です」


顔馴染みの同期や先輩、後輩に声をかけられてホッとしたカボタンは、満面の笑みでメンバーとの久々の再会を喜ぶのでした。


「ゴメンゴメン、寝坊しちゃって☆」


いいえ。早朝に起床したにも関わらず、メイクや髪型に納得がいかずに準備が間に合わなかっただけです。


ダンスそっちのけで懐かしいメンバーとの談笑に花が咲くカボタンでしたが、ふと、部屋の隅にちょこんと座る女性が視界に入りました。


長いウェーブのかかった黒髪、長い睫毛と大きなクリクリとした目(芽)、真っ白で綺麗に整った歯。

その姿は明らかに日本産の農産物ではありませんでした。


「ねぇ、あそこにいる野菜?果物?は誰?」

「あぁ、スリランカ産の果物だってさ。アボカドだったかな?1年間だけ短期留学で日本に来てるらしいよ。名前は確か、ア…アボ……?ゴメン名前長くて忘れちゃった」

「ふーん、アボカドか…珍しいね」


カボタンは異国感溢れる彼女に強烈な興味を抱きましたが、パーティー中は話しかけることができず、そのままお開きになってしまいました。


「カボタンちゃん、この後打ち上げ行く?あのアボカドさんも行くみたいなんだけど」

「行く!!」


この機会を逃してはならぬ、カボタンは直感的にそう感じました。




このアボカド女性との出逢いによって、カボタンの人生(野菜生)は斜め上の方向へと展開していくのでした。


それはそれは楽しい未知の世界へ…



(続く)