日本かぼちゃばなし~番外編~
「ここで決着をつけるのよ、マヤ!マヤ!…マヤ…ャ…ャ…」
(……ハッ!夢か)
カボタンは上空40,000フィート(12,192m)を飛行中の飛行機内で目を覚ましました。
(あれ…なんで7年も前のことが夢に出てきたんだろ…)
カボタンは、あの悪夢の日々をふと思い出し、笑いが込み上げてきました。
(フッ…あの頃は必死だったな…)
あのブラック畑でひと皮剥け、その後に転職(転畑)した外資系畑でふた皮剥けたカボタンは、3つ目の皮を剥こうと、今まさにインドに向かっているところでした。
(こんなに皮ばかり剥いてて良いのかな。私、実はかぼちゃじゃなくて玉ねぎだったのかしら…?)
カボタンは一瞬、自分のアイデンティティーを疑ってしまいました。
ふと、斜め前に座っているスキンヘッド&柄パン&タトゥー入り&髭もじゃの西洋人(西洋野菜)が、真面目にPCワークしている姿が見えました。
横の席では、インド人(インド野菜)家族が皆仲良く頭からすっぽりとブランケット(クッキングシート)にくるまって寝ていました。
無表情の男性(男菜)客室乗務員が「おかわりいる?」と聞きながら、カボタンの返事を待たずにドボドボとお茶を注いでくれました。
女菜客室乗務員も含め、無理に笑顔を作っているスタッフは誰もいませんでした。
カボタンは、周りの野菜達が自然体(無農薬野菜)でいるのを感じました。
そして、自分がかぼちゃだろうが玉ねぎだろうが、心底どうでも良くなるのでした。