外資かぼちゃばなし 8
~前回までのあらすじ~
1ヶ月間の研修を通してトレーナーのセロリーヌさんの優しさに触れ、カボタンはおやつと幸せを噛みしめるのでした。
「ぴーあいぴー?」
カボタンはポカンとした顔で上司の白菜鍋さんに聞き返しました。
「そう。Performance Improvement Plan、略してPIP。外資系ではよくあるんだけど、もうちょっと頑張って欲しいなっていう社員(畑員)には、こういった業務改善プログラムが与えられるんだ」
「は、はぁ…」
「それでね、この畑は相対評価が基本だから、どうしてもこのプログラムの対象者がでてきちゃうんだ」
「な、なるほど…」
「で、本当にあまり落ち込まないで欲しいんだけど…今回、カボタンさんがこのPIPの対象になってしまったんだよ」
「えっ」
「でも、カボタンさんは入畑してまだ間もないから、今は全然気にしないで。仕方ないことだから」
「えっ…でも…」
「でもまあ、来年もこの対象になっちゃうと結構マズいから、頑張って」
「マズい…というと…?」
「うーんと、つまり…クビになっちゃうってこと。でもまあ、もし業務内容が自分に合わないと感じたら、他の部署に行ってもらっても構わないから。その時は相談してね」
「へっ…」
「今はとりあえず、言われたことだけをしっかりやってもらえれば良いから。じゃ、お疲れ様です」
上司は軽く微笑むと、緑々とした葉っぱをなびかせながら、颯爽と去って行きました。
「……」
カボタンは混乱していました。
(ちょっと待って。さっき、サラッと「クビ」って言った?)
カボタンは落胆しました。
要するに、
「現時点でのカボタンのレベルは部署内でビリっけつですよ☆」
と言い渡されたも同然なのです。
上司はカボタンを傷つけないよう、紳士的に最大限の気配りをしていましたが、完全にオブラートで包むことはできなかったようです。
(続く)